戦争のこと


今日、何か戦争のことについてだれかと話しましたか?

高齢者の介護施設で働いていると、時々ご利用者と戦争体験の話をしたりします。
私たちの施設がある三保地区は、艦砲射撃を受けたことがあり、その時の様子などよく話してくださいます。
「頭の上を爆弾がひゅーひゅーとんで…」「怖くて、怖くて」
貴重な話なのは分かっているのですが、「へぇ。そうだったんですね」といいつつも、映画か何かの話のような、本当の怖さや辛さというのが、中々理解できない自分がいます。

あるとき、何人かの方と歌を歌ってると
「わたし、この歌聞くと胸が切なくなるの」と言い出した方がいました。
それは「異国の丘」という曲
「今日も暮れゆく 異国の丘に/友よ辛かろ 切なかろ/我慢だ待ってろ 嵐が過ぎりゃ/帰る日も来る 春が来る」
私も何度となく聞いたことのある曲だったのですが、改めて聞き、まじまじと歌詞を見たとき、「そうか、そうだったのか」と「せつなくなる」という言葉が胸に、体の中にしみ込んできました。
作られた時期や背景なんかも知らずに皆さんが口ずさんでいるのをただなんとなく聞いていただけの曲が一変にわたしにとっての意味を変えました。

戦争の辛さや悲惨さは、たぶん戦争を体験していない私には、とても理解しがたいことだと思います。
「異国の丘」の言葉で表現されていることよりもきっと、その目の前に生々しく悲惨で、残酷な光景が広がっていたと思われます。
そして、その時の時代背景の中で、そういうことを日本人が他の国でも行っていた。世界のあらゆる国が敵と思う誰かに対してそういうことをしていた。
そして、今でもそういう光景が目の前に広がっている地域がある…
戦争を経験した世代がすでに高齢者となっています。私たちが今、何かを感じ取らなければ、私たちはその本当に切ない場面に遭遇しない限り、切ない場面を次の世代に感じさせたくないと思うことができないかもしれません。

今日は、切なくなっていい日だと思います。
そして、今日は、幸せなのだと感じるべき日なのだと思います。

今日、何か戦争のことについてだれかと話しましたか?