魔法使い


小さいころ、わたしには魔法使いがいました。

湯気の立ち上がる鍋ののった火の前にいつも立っていました。

わたしの魔法使いの特技は目分量。どぼどぼっと大胆にいれるのに、いつも同じ味のカボチャの煮物。作る量が違ってもいつも同じ味。

実はこのそなーれにも、魔法使い、または引退した魔法使いがたくさんいます。「やっぱりお母さんの味になるには、何か足りないんだよねぇ」っていう秘技をもってる彼女たち。明日からお彼岸だなと思えば小豆をひやかし、祭りとなれば親戚分までいなりずしを作り、余った野菜の切れ端は捨てずに糠床へ。味噌に、しょうゆの仕込み、梅干し、ラッキョウ、大根は干して漬物に。オーブンがない時代に無水鍋で作る子供のバースデーケーキ。その時期がくれば、体が自然と動き出す。指に手にしみ込んだ魔法。「おうちの味」の魔法

私の好きな魔法は“おはぎ”。魔法使いが、さらしに餡子と団子をいれてくるっくるっとして、さっとさらしを開いてみると、そこには均等に餡子にくるまったおはぎがころんとでてくるのです。あの手の中はどうなっているんだろうと、まじまじ何度も見ていました。

この前のお彼岸のおはぎ作り。魔法使い見習いのわたし、やっぱり底の餡子が薄くなっちゃうんだよなぁと反省しながら。まだまだ修行の身です。

いつか私も魔法が使えるようになるかしら

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